大きな空間と小さな空間
室蘭市の母恋に建つ家族4人のための住宅。
母恋は谷状の地形に小さな敷地や街路が配された古くからの住宅地で、傾斜地に新旧さまざまな時代の住宅が混在しています。『母恋の家』の敷地は谷の中腹に位置し、2階からは街全体を見渡すことができます。設計においては、敷地環境のもつ空間的・時間的な特徴をとらえ、それらと住み手の生活や身体が響き合うような、開放的で大らかな建築をイメージしてスタディを進めました。
建築は、擁壁や法面と距離をとるため、全体を2つに分割し道路に寄せて配置しました。これによって敷地全体の風通しが良くなると同時に建物のスケールが小さくなり、周囲と調和しつつ自律しているような、チャーミングな建ち方となりました。さらに、分割した2つのヴォリュームにそれぞれ空間的な特徴を与えました。南側半分は、明るくて天井が高い〈大きな空間〉。玄関からリビング・ダイニングまで土間床が連続した空間に、テーブルやソファなどが自由に置かれています。窓からは街の気配が微かに感じられ、吹抜に浮かぶ展望台のようなデッキからは母恋の谷の風景を眺められます。この〈大きな空間〉は、たとえば倉庫や温室のような、室内にいても外を感じられる、ざっくりとした大らかな雰囲気の居場所となっています。それに対して擁壁に近い北側半分は、水廻りや寝室などの生活に必要な設備や部屋を収めた〈小さな空間〉の集まりとしました。なかでも木板仕上げの寝室は、三角屋根の形を天井に現した、山小屋のような親密な居場所となっています。こうした〈大きな空間〉と〈小さな空間〉という性質の異なる空間を行き来しながら、家族4人それぞれの生活が展開していきます。
北海道の寒冷な気候、室蘭特有の谷状の地形、狭い街路や新旧混在した家々、坂や擁壁など、さまざまなスケールの歴史や環境と関わりながら、住み手がのびのびと新しい日常を創造する場としての建築を目指しました。
室蘭市の母恋に建つ家族4人のための住宅。
母恋は谷状の地形に小さな敷地や街路が配された古くからの住宅地で、傾斜地に新旧さまざまな時代の住宅が混在しています。『母恋の家』の敷地は谷の中腹に位置し、2階からは街全体を見渡すことができます。設計においては、敷地環境のもつ空間的・時間的な特徴をとらえ、それらと住み手の生活や身体が響き合うような、開放的で大らかな建築をイメージしてスタディを進めました。
建築は、擁壁や法面と距離をとるため、全体を2つに分割し道路に寄せて配置しました。これによって敷地全体の風通しが良くなると同時に建物のスケールが小さくなり、周囲と調和しつつ自律しているような、チャーミングな建ち方となりました。さらに、分割した2つのヴォリュームにそれぞれ空間的な特徴を与えました。南側半分は、明るくて天井が高い〈大きな空間〉。玄関からリビング・ダイニングまで土間床が連続した空間に、テーブルやソファなどが自由に置かれています。窓からは街の気配が微かに感じられ、吹抜に浮かぶ展望台のようなデッキからは母恋の谷の風景を眺められます。この〈大きな空間〉は、たとえば倉庫や温室のような、室内にいても外を感じられる、ざっくりとした大らかな雰囲気の居場所となっています。それに対して擁壁に近い北側半分は、水廻りや寝室などの生活に必要な設備や部屋を収めた〈小さな空間〉の集まりとしました。なかでも木板仕上げの寝室は、三角屋根の形を天井に現した、山小屋のような親密な居場所となっています。こうした〈大きな空間〉と〈小さな空間〉という性質の異なる空間を行き来しながら、家族4人それぞれの生活が展開していきます。
北海道の寒冷な気候、室蘭特有の谷状の地形、狭い街路や新旧混在した家々、坂や擁壁など、さまざまなスケールの歴史や環境と関わりながら、住み手がのびのびと新しい日常を創造する場としての建築を目指しました。
- 用途
- 住宅
- 所在地
- 北海道室蘭市
- 敷地面積
- 142.13m²(43.00坪)
- 建築面積
- 52.99m²(20.00坪)
- 延床面積
- 89.42m²(27.00坪)
- 設計
- 佐々木 夕介 関口 聡美
- 施工
- 株式会社 道南商事
- 家具
- BLAKISTON(テーブル・ソファ)
- 撮影
- 佐々木 夕介
- 掲載
- Replan北海道 vol.116 / 礼促社