緑陽の家


ニュータウンに建つ現代の民家

札幌郊外の北広島市に建つ高齢者夫婦の住宅。
敷地のある「北広島団地」は開発から約半世紀を経たニュータウンで、緑豊かな丘陵地に戸建や集合住宅が建ち並ぶ。なかでも北海道特有のコンクリートブロック住宅「三角屋根」が建つエリアは独特な景観である。こうした敷地環境と、現代の設備や技術、住人のライフスタイルが互いに関係し合いながら成立する建築のあり方を求めて設計をすすめた。
建築全体は住宅とカーポートの2つのヴォリュームで構成した。道路から庭へ抜けるカーポートは、閉鎖的になりがちな寒冷地の住宅地において開放的な構えをつくり出している。住宅部分は周辺の「三角屋根」と同じ形状とすることで、屋根の積雪を避けつつ、ニュータウンの風景にゆるやかに仲間入りする。間仕切を最小限にした内部は平面的にも断面的にも全体がつながったワンルーム空間となり、空気を循環させて空調負荷の軽減を図るとともに、さまざまな居場所で夫婦が互いの気配を感じ合うような、自由でおおらかな生活の場となっている。
北海道の民家とも称される「三角屋根」を現代の技術や暮らしに合わせてアップデートすることで、時間的にも空間的にも開かれた建築のあり方を目指した。
用途
住宅
所在地
北海道北広島市
敷地面積
391.48m²(118.42坪)
建築面積
101.02m²(30.49坪)
延床面積
105.63m²(31.88坪)
設計
佐々木 夕介
施工
株式会社 丸繁 赤坂建築(建築)、昭栄技研工業(設備)
撮影
佐々木 夕介